COLUMN

ファイルサーバーの権限管理、
どうしていますか?

「このフォルダ、誰が見られるの?」に
いつでも答えられる状態にするために

結論から言うと、権限が説明できなくなる原因はほぼ1つ——「個人に直接つけたから」です。1回だけのつもりで個人にアクセス権を付けると、その人が異動しても退職しても、権限だけがフォルダに残り続けます。それが10年ぶん積もった状態が、多くの学校のファイルサーバーです。この記事では、なぜそうなるのか・どう立て直すのか・サブフォルダまで含めてどう設計するのかを整理します。

なぜ、権限は説明できなくなるのか?

原因① 「この先生にだけ」の個人付与

「急ぎで◯◯先生にこのフォルダを見せたい」——いちばん速い解決は、その人のアカウントに直接アクセス権を付けることです。ところが個人に付けた権限は、その人が異動しても自動では消えません。数年後には「なぜこの人に権限があるのか、誰も理由を知らない」エントリがずらりと並びます。

原因② 継承を切ったまま、忘れられたフォルダ

「このフォルダだけ親と違う権限にしたい」ときに継承を切ります。これ自体は正しい操作ですが、切ったことがどこにも記録されません。あとから親フォルダの権限を直しても、そのフォルダだけ変わらない——「上のフォルダは直したのに、なぜかここだけ見えない(見えてしまう)」の原因はたいていこれです。

原因③ 退職・卒業しても消えない残骸

アカウントを削除しても、フォルダ側の権限エントリは残ります。管理画面では「S-1-5-21-…」という長い識別子や「不明なアカウント」として表示され、消していいのか判断がつかないため放置されます。

原因④ 権限の表示が読めない

Windows のアクセス権は「Modify」「ReadAndExecute, Synchronize」といった英語で表示され、しかも合成されると数値になることさえあります。読めないものは点検されません。結果として「たぶん大丈夫」のまま何年も過ぎます。

どれも一つひとつは小さな判断です。問題は、これらが「記録されない」まま積み上がることにあります。

立て直すときの、4つの原則。

原則① 権限はグループにだけ付ける

これが最も重要です。個人アカウントには一切付けないと決めてしまうと、権限の一覧が「グループ名の並び」になり、そのまま日本語で説明できる表になります。1人だけに見せたい場合も、その1人が入るグループを作ります。手間が増えるように見えますが、異動のたびにフォルダを触らなくて済むので、年単位では確実に楽になります。

原則② グループのメンバーは、名簿から自動で決まるようにする

グループ単位にしても、そのグループのメンバーを手で足し引きしていたら結局同じことです。「教職員」「3年担任」「事務室」といったグループのメンバーが、名簿の情報から自動的に決まる状態にして初めて、権限管理は手離れします。

原則③ 「標準の形」を決めて、そこからのズレを検知する

すべてのフォルダを個別に覚えるのは無理です。かわりに「共有フォルダはこういう権限になっているはず」という標準形を1つ決めて、そこから外れたものだけを見るようにします。点検の対象が「全部」から「ズレたものだけ」に減れば、定期的に回せるようになります。

原則④ 見えてはいけないフォルダは、名前も見せない

アクセス権がなくても、フォルダの名前は見えてしまうのが既定の動作です。「03_人事評価」「懲戒関係」といったフォルダ名は、それ自体が情報になります。Windows のファイルサーバーには権限のない人にはフォルダごと見せない設定(アクセスベース列挙・ABE)があるので、有効にしておくことをおすすめします。

いちばん難しいのは、サブフォルダ。

「共有フォルダは全教職員が読めるけれど、その中の 03_人事 だけは管理職のみ」——学校でごく普通にある構成です。ところがこの一段深いところが、いちばん管理から抜け落ちます。共有の入口だけ台帳にして満足してしまい、配下の権限は誰も見ていない、という状態になりがちです。

深くしすぎない

権限を変えるのは共有直下の第1階層までと決めるのが現実的です。3階層目・4階層目で権限を変え始めると、誰も全体像を把握できなくなります。

継承を切る場所を記録する

「どこで継承を切ったか」を台帳に残します。これがないと、親を直したときに追随しないフォルダを見つけられません。

ABE とセットで考える

サブフォルダの権限を正しく設定して初めて、アクセスベース列挙が意味を持ちます。権限が甘いままだと、見えてはいけないフォルダ名が見えます。

今あるサーバーを、どう立て直すか。

いきなり全部を作り直す必要はありません。順番が大事です。

1. 棚卸しまず「どのサーバーに、どの共有があり、誰に見えているか」を一覧にします。この段階では何も変えません。現状が見えないまま設計を始めると、必ず何かを壊します
2. 標準形を決める「共有フォルダの権限はこの形」という基準を文章で1つ決めます。ここが曖昧だと、以降の判断がすべて属人的になります
3. グループを整える「教職員」「事務室」「3年担任」など、権限を付ける単位になるグループを用意し、メンバーが名簿から決まるようにします
4. ズレの大きいものから直す個人付与・不明なアカウント・意図しない継承の切断を、影響の大きいものから順に。全部を一度に直そうとしないのがコツです
5. 定期点検の形にする年度末など、決まったタイミングで標準形とのズレを見る運用にします。ここまで来ると、権限管理は「常に説明できる状態」になります

なお、どの段階でも変更の前に現状のバックアップを取ってください。権限の設定ミスは、ファイルの消失より復旧が面倒になることがあります。

ついでに、容量の話も。

権限の棚卸しをすると、たいてい「そもそも容量が逼迫している」問題にも同時にぶつかります。ここでよくある失敗が、エクスプローラでフォルダを1つずつ開いてサイズを調べ始めることです。数百GBの共有では終わりません。

効率がいいのは、①種類別(動画・画像・書類)の内訳を出す → ②大きいファイルを上位から並べる → ③中身を確認して消すという順番です。学校のファイルサーバーで容量を食っている犯人は、たいてい行事の動画です。しかも「消していいのか分からない」から残っている、というケースがほとんどなので、その場で再生して中身を確認できるかが意思決定の速さを決めます。

Conneco では、こうしています。

私たちが開発している「Conneco(こねこ)」の共有フォルダ管理は、この記事の原則をそのまま形にしています。

グループ単位に統一

アクセス権の付与はセキュリティグループ単位に統一。グループのメンバーは名簿のタグから自動で決まります。

日本語+氏名で表示

「Modify」ではなく「変更」、識別子ではなく氏名・グループ名で表示。専門知識なしで読める表になります。

標準形からのズレを検知

個人付与・継承のゆるみ・不明なアカウントの残骸を検知してハイライト。確認してからまとめて修復できます。

サブフォルダの権限も管理

共有の入口だけでなく、配下のフォルダの権限も台帳で管理できます。「共有は全教職員、この1つだけ管理職」が設計として残ります。

権限がなければ名前も見せない

アクセスベース列挙(ABE)を画面から切り替えられます。見えてはいけないフォルダ名を隠せます。

容量は種類別+上位一覧で

動画・画像などの種類別内訳と、大きいファイルの上位一覧を表示。その場で再生して中身を確かめ、不要なら選んで削除できます。

共有フォルダ管理の機能を見る → 個人フォルダ(ホームフォルダ)管理を見る →

よくある疑問

「不明なアカウント(S-1-5-21-…)」は消してよいですか?

削除済みアカウントの残骸であることがほとんどなので、基本的には整理して問題ありません。ただし、まれに他のドメインのアカウントや、一時的に名前解決に失敗しているだけの場合があります。消す前に、そのフォルダを実際に使っている人がいないかを確認してください。

継承は、切ったほうがよいですか?切らないほうがよいですか?

原則は切らないです。切るのは「親と明確に違う権限にする」と決めたときだけにして、切った場所を記録しておきます。なんとなく切られた継承が増えると、親フォルダの権限を直しても現場に反映されない状態になります。

「Everyone」に権限が付いているのですが、問題ですか?

共有フォルダでは見直しの対象です。Everyone には全員が含まれるため、意図せず「全員に書き込み可」になっていることがあります。まずは実態を確認し、該当する範囲のグループに置き換えていくのが安全です。いきなり削除すると業務が止まる可能性があるので、影響を確認してから進めてください。

アクセス権を変更したら、業務が止まりませんか?

その可能性はあります。だからこそ「棚卸し → 標準形の決定 → 影響の大きいものから」の順番が大事です。加えて、変更前の状態を記録しておくと、問題が起きたときに戻せます。年度末や長期休暇など、影響の小さい時期に実施するのも有効です。

クラウドストレージに移せば、この問題はなくなりますか?

権限管理の考え方は同じです。「個人ではなくグループに付ける」「標準形を決める」「定期的に点検する」という原則は、オンプレミスでもクラウドでも変わりません。移行そのものが権限を整理してくれるわけではないので、移す前に整理しておくほうが結果的に楽になります。

「誰が見られるか分からないサーバー」、
棚卸しから始めませんか。

現在のサーバー構成と権限の付け方をお聞かせいただければ、
どこから手を付けるとよいかをご提案します。実際の画面もご覧いただけます。

ご提案・デモ・お見積りのご相談

最終更新: 2026年8月7日

← コラム一覧へ 共有フォルダ管理を見る