COLUMN

新入生のアカウントを、
一括作成するには?

Active Directory・Microsoft 365・Google Workspace に
毎年つくる作業を減らす、4つの方法

結論から言うと、作業を減らす鍵は「名簿を1つに決めて、そこから各システムへ配ること」です。3つの管理画面にそれぞれ入力している限り、CSVを使っても作業は3分の1にはなりません。この記事では、1人ずつ手入力・CSV一括インポート・スクリプト・名簿からの自動同期という4つの方法を、それぞれの限界とあわせて整理します。どれが正解かは学校の規模と、来年以降も同じ人が担当するかどうかで変わります。

なぜ毎年、春につらいのか?

作業が重いのは人数のせいだけではありません。
同じ情報を、形式の違う3つのシステムに入れ直しているからです。

同じ名簿を、3回入力している

入学予定者の名簿は1つなのに、Active Directory にユーザーを作り、Microsoft 365 のライセンスを割り当て、Google Workspace にもアカウントを作る——同じ氏名・同じ学籍番号を、3つの管理画面に入れ直すことになります。しかも3つとも必須項目もCSVの列名も違います。

命名規則を、人が当てはめている

「学籍番号+入学年度でIDを作る」「メールアドレスはIDに学校ドメインを付ける」「初期パスワードは規則で生成する」——学校ごとのルールを、名簿の1行ずつに人が当てはめます。表計算の関数で組み立てている学校も多いですが、その式を作った人が異動すると誰も直せなくなります

アカウントを作って終わりではない

本当に手間なのはこの後です。学年・クラスのグループに入れ、組織階層(OU)の正しい場所に置き、個人フォルダを作ってアクセス権を付ける。「アカウントは作れたのに、共有フォルダが見えない」の問い合わせは、たいていこの工程の抜けから起きます。

締め切りが動かせない

4月1日には全員が使える状態にしなければなりません。年度末は卒業処理・進級処理と重なり、しかも人事異動で担当者が変わったばかり——という年も珍しくありません。「去年どうやったか」を思い出すところから始まるのが、この作業のいちばんの敵です。

方法は、大きく4つあります。

方法① 管理画面で1人ずつ作る

向いている規模: 数名〜十数名の追加
転入生が数名、という場面では今でも一番速い方法です。特別な準備がいらず、失敗しても1件だけやり直せばよいのが利点。
一方で、新入生が100人を超えると現実的ではありません。1人あたり3システムで3〜5分としても、100人で5〜8時間、300人なら2〜3日かかります。しかも人が入力するので、氏名の変換ミスや学籍番号の打ち間違いが必ず一定数まぎれ込みます。

方法② CSVで一括インポートする

向いている規模: 数十名〜数百名/担当者が毎年同じ
3つのシステムはいずれもCSVでの一括登録に対応しています。実務としてはこれが最も広く使われている方法でしょう。
ただし、次の点は事前に知っておく価値があります。

  • 3つのCSVは互換ではありません。列名も必須項目も並び順も違うため、結局「システムごとの変換シート」を作ることになります
  • 取り込み後の修正が追えません。一度取り込んだ後に「クラスが変わった」「氏名の字が違った」となると、修正はまた3システム分の手作業です
  • 失敗したときの巻き戻しがありません。間違ったCSVを取り込んでしまうと、消す作業も一括では用意されていないことが多く、後始末のほうが重くなります
  • グループ・OU・フォルダ権限までは面倒をみてくれません。アカウントは作れても、前述の「その後の工程」は別作業として残ります

方法③ PowerShell などのスクリプトを書く

向いている規模: 数百名以上/校内に書ける人がいる
名簿のCSVを読んで、ID生成からグループ追加までを一気に流す——技術的にはこれが最も自由度が高く、実際に自作されている学校もあります。
気をつけたいのは、スクリプトが「その人の資産」になってしまうことです。年度更新でクラス構成が変わるたびに手を入れる必要があり、書いた本人が異動すると、後任は中身を読み解くところから始めることになります。エラー処理が甘いまま数百人分を流して、途中で止まった状態から復旧できない——という事故も起こりえます。
くわしくは: アカウント作成スクリプトの赤いエラーは、どこから来るのか →

方法④ 名簿を「正」にして、自動で同期する

向いている規模: 全般/担当者が変わる可能性がある学校
発想を変えて、名簿を1か所に持ち、そこから各システムへ配る方式です。入力は名簿に1回だけ。ID・初期パスワード・メールアドレス・配置先・グループ・個人フォルダは、学校ごとに決めたルールに従って自動生成されます。
この方式の本質的な利点は、作業が速いことよりも「今どうあるべきか」がシステムに書いてあることです。手順書ではなく設定として残るので、担当者が変わっても引き継げます。年度途中の転入生も、名簿に足すだけで同じ流れに乗ります。

4つの方法を、並べて比べると。

観点① 1人ずつ手入力② CSV一括③ スクリプト④ 名簿から自動同期
準備の手間なし変換シートの作成設計・実装初回の設計(命名規則の整理)
毎年の作業量人数に比例中(3システム分の変換)小(名簿の更新のみ)
属人化しない変換シートに依存強く属人化設定として残る
やり直し1件ずつ仕組みなし作り込み次第取り消しの仕組みがあるものも
グループ・OU別作業別作業作り込めば可同時に処理
個人フォルダ・権限別作業別作業作り込めば可同時に処理
年度途中の転入生都度手作業都度手作業都度実行名簿に追加するだけ

※ 方法③・④は製品や実装により差があります。導入をご検討の際は、実際の運用に当てはめてご確認ください。

どれを選べばいいのか?

数十名までなら②で十分

年間の新規が数十名で、担当者が当分変わらないなら、CSV一括で回すのが現実的です。無理に仕組みを入れる必要はありません。

数百名なら③か④

手作業の時間が数日単位になるなら、仕組み化の投資が回収できます。校内に書ける人がいるかどうかが③と④の分かれ目です。

担当が変わるなら④

いちばん大事な判断軸はここです。「来年も同じ人がやるとは限らない」なら、手順ではなく設定として残る方式を選んでおくと、引き継ぎで困りません。

なお、どの方法を選ぶ場合でも、先に「命名規則を文書にしておくこと」をおすすめします。ID・メールアドレス・組織階層の付け方が言葉で書けていれば、方法を変えるときの移行がぐっと楽になります。逆にここが曖昧なままだと、どの方法を選んでも毎年迷うことになります。

Conneco では、こうしています。

私たちが開発している教育システム統合アプリ「Conneco(こねこ)」は、上の④にあたる方式をとっています。名簿を Conneco に登録すると、Active Directory・Microsoft 365・Google Workspace のアカウントが、学校ごとに決めたルールで自動的に作られ、グループ所属・組織階層・個人フォルダのアクセス権まで揃います。

この記事で挙げた落とし穴に対しては、実行前に「作成◯件・無効化◯件」の見積りを表示する一括操作をまとめて取り消せるようにする3システムのズレを1画面で検出する——という形で対処しています。くわしくは Conneco Directory(アカウント統合管理) をご覧ください。

よくある疑問

Microsoft 365 のアカウントは、Active Directory から自動で作れますか?

作れます。Microsoft が提供する標準の同期の仕組み(Entra Connect)を入れておくと、Active Directory に作ったユーザーが Microsoft 365 側にも現れます。この構成にしておくと、管理する場所が1つ減ります。逆に Microsoft 365 側で直接作ったアカウントは Active Directory と結びつかないため、混在させると後で整理が大変になります。

Google Workspace も同じように自動化できますか?

Google Workspace には管理用の API が用意されており、名簿からの作成・更新・停止を自動化できます。Microsoft 365 のような「Active Directory から自動で流れてくる」仕組みとは方式が違うため、Google 側は別途の連携が必要になる、という点は押さえておくとよいでしょう。

初期パスワードはどう配るのがよいですか?

規則から機械的に生成し、印刷して本人に配る方法が一般的です。このとき、生成規則が単純すぎると他人のパスワードが推測できてしまうため、規則の設計には注意が必要です。初回ログイン時に変更を求める設定とあわせて検討してください。

途中で失敗したとき、どこまで戻せますか?

方法によります。CSV一括やスクリプトでは、作成したアカウントを消して回る作業が発生しがちです。仕組み化を検討する際は「速く作れるか」だけでなく、「間違えたときに戻せるか」を必ず確認することをおすすめします。数百人分の操作では、こちらのほうが重要になる場面があります。

卒業生のアカウントは、どうするのがよいですか?

いきなり削除せず、「無効化 → 一定期間おく → 削除」の段階を踏むのが安全です。卒業直後は在学中のデータの取り出し依頼が来ることがあり、消してしまうと戻せません。個人フォルダの中身も、削除前に別の場所へ退避しておくと後の依頼に応えられます。

春の「アカウント作成地獄」のご相談、承ります。

現在の運用(名簿の持ち方・命名規則・使っているシステム)をお聞かせいただければ、
どこまで自動化できるかをご提案します。オンラインデモもご覧いただけます。

ご提案・デモ・お見積りのご相談

最終更新: 2026年8月7日

← コラム一覧へ Conneco Directory(アカウント統合管理)を見る 導入検討のための詳細情報を見る